犬の手作りごはんで不足している栄養素を知るには、「肉・野菜・ごはんが入っているか」といった見た目だけではなく、実際に使う食材とグラム数から栄養量を計算し、愛犬のライフステージに合った基準と比較する必要があります。
また、計算した結果が基準を下回っている「不足」と、食品成分データが足りず判定できない「評価データ不足」は別です。データがないことを0として不足扱いにしないことも、安全に確認するうえで重要です。
この記事では、「自分の犬のレシピでは何が足りていないのか」を確認するための順番を、できるだけ分かりやすく整理します。
不足している栄養素は食材名だけでは判断できない
「鶏肉・ごはん・野菜・卵が入っているからバランスがよさそう」と見えても、それだけでは必要な栄養素を満たしているかは分かりません。
同じ食材を使っていても、
- 鶏肉50gか100gか
- 卵を10g使うか40g使うか
- ごはんやいも類をどのくらい使うか
- 油や魚などを加えているか
によって、レシピ全体の栄養量は変わります。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年では、食品ごとにエネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの標準成分値が示され、アミノ酸成分表や脂肪酸成分表も公開されています。
つまり、不足を確認するときは、
何を使ったか
ではなく、
何を何g使ったか
まで見る必要があります。
「不足しやすい栄養素の一覧」だけでは自分のレシピは判断できない
一般的に不足しやすいと紹介される栄養素があっても、それだけで自分のレシピが不足しているとは判断できません。
手作りごはんについて調べると、
「カルシウムが不足しやすい」
「ビタミンやミネラルに注意」
「必須脂肪酸も必要」
といった情報を目にすることがあります。
こうした情報は、確認すべき項目を知るきっかけにはなります。
ただし、実際の不足は、
- 愛犬のライフステージ
- 1日に必要なエネルギー
- 使用している食材
- 各食材の使用量
- レシピ全体の栄養量
によって変わります。
そのため、「手作り食では○○が不足しやすいから、とりあえず追加する」ではなく、自分のレシピを計算してから判断することが大切です。
不足を見つける基本は「食材と量→栄養計算→基準と比較」

不足栄養素を確認する流れは、食材と量から栄養量を計算し、その結果を必要量と比較することです。
基本の流れは次のようになります。
1. 愛犬の情報を確認
↓
2. 使用する食材と量を入力
↓
3. 食品成分からレシピの栄養量を計算
↓
4. ライフステージに合った栄養基準と比較
↓
5. 不足・適正・過剰・評価データ不足を確認
犬の栄養基準の一つとして使われるAAFCO(米国飼料検査官協会)のDog Food Nutrient Profilesでは、犬について複数の栄養項目が設定され、ライフステージによって必要量や比率が異なります。
AAFCOは、栄養プロファイルが栄養素とカロリーの比率を基礎にしていることも説明しています。
そのため、単純に「カルシウムが○mg入っている」「たんぱく質が○gある」という量だけでなく、レシピ全体のエネルギーとの関係も含めて評価します。
成犬と子犬では同じ基準で不足を判断しない
同じレシピでも、成犬と子犬では不足判定が同じになるとは限りません。
AAFCOでは、犬の栄養基準として成犬維持期のAdult Maintenance(成犬の健康維持を目的とした基準)と、成長・繁殖期のGrowth & Reproduction(子犬の成長や繁殖期を対象にした基準)が分けられています。
子犬では、成長に必要なエネルギーや栄養素の量・比率が成犬とは異なるためです。
そのため、
成犬で不足なし
だから
子犬でも不足なし
とは限りません。
子犬については、「子犬の手作りごはん、成犬と同じ栄養バランスでいい?成長期に確認したいポイント」で詳しく説明しています。
「不足」と「評価データ不足」は必ず分けて考える

不足していることと、データがなくて判断できないことは同じではありません。
ここは手作りごはんの栄養評価で特に重要なポイントです。
不足とは、計算できた結果が必要量に届いていない状態
使用した食材について必要な食品成分データがあり、レシピ全体を計算した結果、基準値に届いていない場合は「不足」と判断できます。
たとえば、
基準と比較できるデータがある
↓
計算結果が基準を下回る
↓
不足
という状態です。
評価データ不足とは、足りる・足りないを判断できない状態
一方、使っている食品について、その栄養素の成分値が登録されていない場合があります。
このとき、
データがない
=
その栄養素が0
ではありません。
食品に実際には含まれていても、成分表上で評価に使える値がない可能性があります。
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、このような場合を「評価データ不足」として区別し、未知の値を0として不足判定に使わないようにしています。
さらに、評価データ不足の栄養素については、安全のため自動で追加量を提案しません。
エネルギーが足りていても栄養素が足りているとは限らない
必要カロリーを満たしていることと、必要な栄養素をすべて満たしていることは別です。
たとえば、1日の必要エネルギーを満たす量を食べられていても、
- ビタミン
- ミネラル
- 必須アミノ酸
- 必須脂肪酸
などの一部が不足する可能性があります。
反対に、ある栄養素を補うために食材を増やした結果、別の栄養素が過剰になることもあります。
そのため、不足を探すときは一つの栄養素だけを見るのではなく、
不足
+
過剰
+
レシピ全体のバランス
を同時に確認します。
手作りごはん全体の栄養確認は、「犬の手作りごはんの栄養、足りてる?家庭で確認したいポイント」で詳しく説明しています。
カルシウムは量だけでなくリンとのバランスも確認する
栄養素によっては、一つの数値だけではなく、ほかの栄養素とのバランスも重要です。
代表例がカルシウムとリンです。
カルシウムが不足しているかを見るだけでなく、カルシウムとリンのバランス(Ca:P比)も確認します。
つまり、
「カルシウムが少ない」
↓
「カルシウム源を追加する」
だけで終わらず、追加後にリンとの関係も含めてレシピ全体を再確認します。
不足を見つけても、すぐサプリを足すとは限らない
不足が見つかった後は、まず現在の食材や追加できる食材で調整できるかを確認し、必要な場合にサプリメントを検討します。
「不足」と表示されたからといって、必ずサプリメントが必要という意味ではありません。
考え方は、
不足を確認
↓
今ある食材の量を調整できるか
↓
別の食材を追加して補えるか
↓
必要ならサプリメントを検討
↓
変更後のレシピ全体を再評価
です。
なぜなら、一つの食材やサプリメントを加えると、目的の栄養素だけでなく、ほかの栄養素も同時に変化することがあるためです。
サプリメントが必要になる条件や選ぶときの確認ポイントは、「犬の手作りごはんにサプリは必要?まず確認したいこと」で詳しく説明しています。
nanairoでは食材と量から不足・過剰・評価データ不足を確認する
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、愛犬情報と実際に使う食材・量からレシピ全体を評価します。
確認の流れは、
愛犬の体重・年齢・ライフステージ・活動量
↓
使用する食材と量
↓
食品成分データから栄養量を計算
↓
AAFCOの公開基準値を参考に評価
↓
不足・過剰・評価データ不足を確認
↓
必要なら補い方の候補を確認
↓
変更後のレシピ全体を再評価
です。
不足している栄養素には、補いやすい食材や、登録済みサプリメントの候補、追加量の目安を表示します。
ただし、食品成分データが不足して正確に判定できない場合は「評価データ不足」として区別し、自動追加量は提案しません。
この違いを明確にすることで、「本当に不足している」のか、「まだ判断できない」のかを分けて確認できます。
まとめ|不足栄養素は「食材名」ではなく実際のレシピを計算して確認する
犬の手作りごはんで不足している栄養素を知るには、「肉・野菜・ごはんが入っているから大丈夫」といった見た目や、一般的な不足しやすい栄養素の一覧だけでは判断できません。
基本の流れは、
愛犬情報を確認
↓
食材と量を確認
↓
食品成分から栄養量を計算
↓
ライフステージに合った基準と比較
↓
不足・過剰・評価データ不足を区別
↓
必要なら調整
↓
レシピ全体を再評価
です。
特に覚えておきたいのは、
不足=基準と比較して必要量に届いていない
のに対して、
評価データ不足=データが足りず、足りる・足りないを判断できない
という違いです。
「自分の犬のレシピで何が足りないのか」を知るには、一般論ではなく、実際に使う食材と量から確認することが重要です。
よくある質問
犬の手作りごはんで不足しやすい栄養素だけ確認すればいいですか?
不足しやすいと紹介される栄養素は確認のきっかけにはなりますが、それだけでは自分のレシピの不足は判断できません。実際の食材と量からレシピ全体を計算し、愛犬のライフステージに合った基準と比較します。
野菜をたくさん入れればビタミンやミネラル不足を防げますか?
野菜の種類や量によって含まれる栄養素は異なります。また、必要な栄養素すべてを野菜だけで補えるとは限りません。レシピ全体で確認する必要があります。
「評価データ不足」は不足しているという意味ですか?
いいえ。食品成分データが不足しているため、必要量に届いているかどうかを判定できない状態です。データがないことを0とは扱いません。
不足が1つ見つかったら、その栄養素を含む食材を足せばいいですか?
食材を追加すると目的の栄養素以外も変化します。追加後に、ほかの不足・過剰やCa:P比なども含めてレシピ全体を再評価することが大切です。
不足を見つけた後にレシピ全体を崩さず整える方法を詳しく見る →
※本記事は健康な犬の手作りごはんを考えるための一般的な情報です。病気の治療中、療法食を使用している、成長や健康状態に心配がある場合は、獣医師などの専門家に相談してください。

