犬の手作りごはんの栄養が足りているかは、「肉・野菜・ごはんが入っているから大丈夫」と食材の種類だけで判断することはできません。愛犬の年齢やライフステージに合った基準と、実際に使った食材・量をもとに、エネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、必須脂肪酸などを確認する必要があります。
また、1日に必要なカロリーを満たしていても、カルシウムや亜鉛、ビタミンDなど、特定の栄養素が不足していることがあります。
この記事では、「犬の手作りごはんの栄養は足りている?」と不安になったときに、家庭でどこを確認すればよいのかを順番に整理します。
犬の手作りごはんは「食材の種類」だけでは栄養が足りているか分からない
肉・野菜・炭水化物などをそろえることと、愛犬に必要な栄養素を必要量満たすことは別です。
手作りごはんでは、「肉も野菜も入れているからバランスがよさそう」と感じることがあります。見た目としてはさまざまな食材が入っていても、それだけでは各栄養素がどのくらい含まれているかまでは分かりません。
栄養を確認するためには、「何を使ったか」だけでなく「何g使ったか」まで見る必要があります。
同じ食材でも何グラム使うかで栄養量は変わる
たとえば、鶏肉、卵、ごはん、野菜を使ったレシピでも、それぞれの量が変わればレシピ全体の栄養量も変わります。
鶏肉を20g使う場合と100g使う場合では、たんぱく質や脂質などの量は同じではありません。野菜や卵についても同様です。
そのため、家庭で栄養バランスを考えるときは、
食材名 + 実際に使った量
を一緒に確認することが基本になります。
食材ごとのグラム数をどう決めるかは、「犬の手作りごはん、肉・野菜・ごはんは何グラムずつ?」で詳しく説明しています。
カロリーが足りていても栄養素が足りるとは限らない
1日に必要なエネルギーを満たすことは大切ですが、
必要カロリーを満たしている = 必要な栄養素をすべて満たしている
という意味ではありません。
たとえば、必要なエネルギー量に届いていても、カルシウムや一部のビタミン・ミネラル、必須脂肪酸などが不足することがあります。
逆に、特定の食材やサプリメントを多く使うことで、一部の栄養素が必要以上に多くなることもあります。
まず1日のごはん量や必要カロリーの考え方を確認したい場合は、「犬の手作りごはんは1日何グラム?体重だけでは決められない理由」で詳しく説明しています。
まず愛犬のライフステージに合った基準で確認する
「栄養が足りているか」を判断するときは、その犬がどのライフステージにいるのかも重要です。
成犬と成長期の子犬では、必要とする栄養量やバランスが同じとは限りません。
AAFCOのDog Food Nutrient Profilesでも、犬について「Adult Maintenance」と「Growth & Reproduction」が分けられています。
つまり、単に「犬に必要な栄養」を見るのではなく、
今の愛犬に合った基準で確認する
ことが必要です。
成犬と子犬では確認する基準が異なる
成犬では健康な体を維持するための栄養バランスが中心になります。
一方、成長期の子犬では体が大きく変化しているため、成犬とは異なる栄養基準で確認する必要があります。特にミネラルや脂肪酸など、一部の項目では成長期に特有の基準があります。
子犬の手作りごはんを成犬と同じ栄養バランスで考えてよいかは、「子犬の手作りごはん、成犬と同じ栄養バランスでいい?」で詳しく説明しています。
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、成犬維持ではAdult Maintenance、成長期などではGrowth & Reproductionの公開基準値を参考に評価を切り替えています。
家庭で確認したいのはカロリーだけではなく複数の栄養項目

手作りごはんの栄養を見るときは、カロリーやたんぱく質だけでなく、複数の栄養項目をまとめて確認します。
大きく考えると、
エネルギー
+
主要な栄養素
+
ビタミン・ミネラル
+
必須アミノ酸・必須脂肪酸
+
栄養素同士のバランス
という見方になります。
エネルギーとたんぱく質・脂質などを確認する
まず、1日に必要なエネルギーに対して、レシピがどのくらいのカロリーを持っているかを確認します。
そのうえで、たんぱく質や脂質なども見ていきます。
ただし、ここで「カロリーとPFCが合っているから完成」とは考えません。
手作りごはんでは、ここからさらにビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸などへ確認を広げる必要があります。
ビタミン・ミネラルの不足や過剰を確認する
犬の食事では、カルシウム、リン、亜鉛、銅、ヨウ素などのミネラルや、ビタミンA、D、E、B群なども確認対象になります。
これらは必要量がすべて同じではありません。
また、「不足していなければ多いほどよい」というものでもありません。栄養素によっては、公開されている基準に最大値が設定されているものもあります。
そのため、
足りているか
+
多すぎないか
の両方を見ることが大切です。
必須アミノ酸・必須脂肪酸も確認する
「たんぱく質が十分」という数字だけでは、たんぱく質を構成するアミノ酸の状態までは分かりません。
AAFCOのDog Food Nutrient Profilesでは、粗たんぱく質だけでなく、アルギニン、リジン、メチオニンなど複数のアミノ酸も個別に基準が示されています。
脂肪についても同様で、単に脂質量だけを見るのではなく、リノール酸などの必須脂肪酸についても確認します。
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」には、通常の成分表に加えてアミノ酸成分表編や脂肪酸成分表編も公開されています。
カルシウムとリンは量だけでなくCa:P比も確認する
カルシウムとリンは、「それぞれ何mgあるか」だけでなく、互いのバランスも確認したい栄養素です。
AAFCOのDog Food Nutrient Profilesでは、カルシウムとリンの基準とともにCa:P比も示されています。
そのため、
カルシウムが足りているか
+
リンが足りているか
+
Ca:P比が適切な範囲か
というように、一つの栄養素だけを見るのではなく、関連する項目も合わせて確認します。
nanairoでも、栄養素ごとの評価とは別にCa:P比を確認できるようにしています。
栄養は「不足」だけでなく「過剰」も確認する
栄養不足が心配でも、必要な栄養素をたくさん追加すればよいわけではありません。
たとえば、ある栄養素が不足していることが分かり、その栄養素を多く含む食材やサプリメントを追加したとします。
不足していた栄養素は改善しても、その食材に含まれる別の栄養素まで増える可能性があります。
そのため、
不足を発見
→ その栄養素を追加
→ 終了
ではなく、
追加後のレシピ全体をもう一度確認する
ことが重要です。
nanairoでは、不足している栄養素の補い方を検討するときも、追加後のレシピ全体を再計算して、ほかの栄養素への影響も確認する考え方を採用しています。
成分データがない栄養素は「0」と判断しない
食品成分データに値がないことと、その食品にその栄養素が含まれていないことは同じではありません。
食品成分表には多くの栄養成分が収載されていますが、すべての食品について、すべての栄養素の分析値がそろっているとは限りません。
このとき、データがない項目を自動的に「0」としてしまうと、本当は判断できないものまで不足として扱うことになります。
nanairoでは、栄養評価に必要な食品成分データが不足している場合、未知の値を0とは扱わず、「評価データ不足」として区別します。
また、正確な判定ができない栄養素については、安全のため自動的な追加量を提案しません。
これは「不足している」と「データがなくて判定できない」を分けるためです。
不足している栄養素を実際の食材と量からどう見つけるかは、「犬の手作りごはんで不足している栄養素はどうやって分かる?」で詳しく説明しています。
栄養不足を見つけたら「その栄養素だけ」を足して終わりにしない

不足を見つけた後は、まず今のレシピ全体を見ながら、できるだけ自然に整える方法を考えます。
考え方の一例は、
不足している栄養素を確認
↓
今使っている食材の量で調整できるか確認
↓
必要なら追加食材を検討
↓
食材だけで難しければサプリメントも検討
↓
変更後のレシピ全体を再評価
という流れです。
まず今ある食材で調整できるか確認する
すでに使っている食材の量を少し調整することで、不足が改善できる場合があります。
新しい食材を次々に追加する前に、まず今の組み合わせで整えられるかを確認すると、レシピを複雑にしすぎずに済みます。
必要なら追加食材やサプリメントを検討する
今ある食材だけでは補いにくい場合は、その栄養素を補いやすい食材を追加する方法があります。
それでも難しい場合には、サプリメントが選択肢になることもあります。
ただし、サプリメントも「不足している栄養素を含んでいるから、この量を入れればよい」と単独で決めるのではなく、追加後のレシピ全体で確認することが重要です。
サプリメントを検討する前に確認したい不足・食材調整・成分量の考え方は、「犬の手作りごはんにサプリは必要?まず確認したいこと」で詳しく説明しています。
計算上足りていても実際に食べなければ摂取量は少なくなる
レシピ上の栄養評価と、愛犬が実際に摂取した栄養量は同じとは限りません。
予定量と実際に食べた量を分けて記録し、数日から数週間の変化を見る方法は、「犬の食事量を毎日記録するメリットは?何を残しておけばいい?」で詳しく説明しています。
たとえば、1日200g食べることを前提に栄養バランスを整えたレシピでも、実際には100gしか食べなかった場合、レシピから摂取できるエネルギーや栄養素の量も少なくなります。
そのため、手作りごはんでは、
レシピ上の栄養バランス
+
実際に食べた量
を合わせて見ることも大切です。
さらに、おやつやトッピングなどを食べている場合は、ごはん以外の摂取分も含めて1日全体を確認すると、実際の食生活を把握しやすくなります。
犬の手作りごはんの栄養を自分の犬で確認するには
自分の犬で栄養が足りているかを確認するには、愛犬情報と実際のレシピを一つにつなげて考える必要があります。
流れを整理すると、
体重・年齢・ライフステージ・活動量を確認
↓
使用する食材と量を確認
↓
必要エネルギーとレシピのカロリーを確認
↓
栄養素ごとの不足・過剰を確認
↓
Ca:P比などのバランスを確認
↓
評価できるだけの食品成分データがあるか確認
↓
必要なら食材やサプリメントで調整
↓
変更後のレシピ全体を再評価
となります。
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、愛犬情報と実際に使用する食材・量から、エネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、必須脂肪酸などを確認できます。
不足している栄養素があれば補いやすい食材や登録済みサプリメントの候補を確認でき、追加した後もレシピ全体を再評価します。
また、食品成分データが足りず正確に判定できない場合は、「評価データ不足」として不足判定と区別します。
「なんとなくバランスがよさそう」ではなく、実際の食材と量から、自分の犬ではどうなのかを確認するために使えます。
まとめ|「いろいろ入っている」ではなく必要量を満たしているか確認する
犬の手作りごはんの栄養が足りているかは、食材の種類だけでは判断できません。
大切なのは、
愛犬のライフステージ
+
実際に使用する食材
+
それぞれの食材量
から、必要な栄養素を満たしているかを確認することです。
さらに、
- 必要エネルギー
- たんぱく質や脂質
- ビタミン・ミネラル
- 必須アミノ酸・必須脂肪酸
- 不足と過剰
- Ca:P比
- 評価に必要な成分データがそろっているか
- 実際に食べた量
まで見ると、手作りごはんの状態をより具体的に把握できます。
不足が見つかったときも、一つの栄養素だけを足して終わりにせず、調整後のレシピ全体をもう一度確認することが大切です。
よくある質問
カロリーが足りていれば栄養も足りていますか?
カロリーが必要量に届いていても、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、必須脂肪酸などが不足している可能性があります。必要カロリーと栄養バランスは分けて確認します。
サプリメントを入れれば栄養不足を補えますか?
サプリメントが不足栄養素を補う選択肢になることはあります。ただし、追加量を単独で決めるのではなく、サプリメントを加えた後のレシピ全体を再評価し、別の栄養素が過剰にならないかも確認することが大切です。
※本記事は健康な犬の手作りごはんを考えるための一般的な情報です。病気の治療中、療法食を使用している、成長や健康状態に心配がある場合は、獣医師などの専門家に相談してください。
