子犬の手作りごはん|成長期の栄養

子犬の手作りごはんで確認したい栄養素とは?成長期に見るポイント

子犬の手作りごはんで成長期に確認したいたんぱく質、脂肪酸、カルシウム・リン、ビタミン・ミネラルを示すアイキャッチ

子犬の手作りごはんでは、カロリーやたんぱく質だけでなく、必須アミノ酸、必須脂肪酸、カルシウム・リンなどのミネラル、ビタミンまでレシピ全体で確認することが大切です。

成長期は成犬維持期とは必要な量や比率が同じではありません。さらに、カルシウムのように「不足」だけでなく「過剰」やリンとのバランスも確認したい栄養素があります。

この記事では、子犬の手作りごはんで何を確認すればよいのかを、栄養素のグループごとに整理します。

子犬では成犬と同じ栄養基準をそのまま使わない

子犬は「小さい成犬」ではなく、成長のための栄養が必要なライフステージです。

AAFCO(米国飼料検査官協会)のFAQでは、犬の栄養プロファイルには37の栄養パラメータがあり、ライフステージによって必要な量や比率が異なること、栄養素はカロリーとの比率を基礎に考えることが説明されています。

また、AAFCOが公開しているDog Food Nutrient Profiles資料では、Growth & Reproduction(成長・繁殖期)とAdult Maintenance(成犬維持期)で、たんぱく質、複数の必須アミノ酸、脂肪酸、カルシウム、リンなどに異なる基準値が示されています。

子犬と成犬の違いの全体像は、「子犬の手作りごはん、成犬と同じ栄養バランスでいい?成長期に確認したいポイント」で詳しく説明しています。

まず必要エネルギーを確認する

子犬の手作りごはんで確認したいエネルギー、たんぱく質と必須アミノ酸、脂質と必須脂肪酸、ミネラル、ビタミン、Ca:P比と評価データ不足の6グループ

成長期では、栄養素を見る前提として「その子が1日にどれくらいのエネルギーを必要としているか」を確認します。

子犬は成長のためにエネルギーを必要としますが、必要量は月齢、体重、将来の体格、活動量などによって変わります。

獣医療の専門情報をまとめたMerck Veterinary Manualでは、子犬は特に成長初期の成長速度が速く、成長中の給与量は個体に合わせて調整する必要があると説明しています。また、過剰給与によって成長速度を速めることは望ましくないとしています。

そのため、

必要エネルギーを計算 ↓ 実際の体重・体型・成長を確認 ↓ 食べる量を調整

という考え方が基本です。

必要カロリーを満たしていても、以下の栄養素が足りているとは限らないため、エネルギーと栄養評価は別に確認します。

たんぱく質は「量」だけでなく必須アミノ酸まで見る

子犬の成長では、たんぱく質に加えて、その中身である必須アミノ酸も確認します。

たんぱく質は筋肉や組織をつくる材料になりますが、「たんぱく質の総量が多い」だけで、必要なアミノ酸の組み合わせまで整っているとは限りません。

AAFCOが公開している犬の栄養プロファイルには、

  • アルギニン
  • ヒスチジン
  • イソロイシン
  • ロイシン
  • リジン
  • メチオニン
  • スレオニン
  • トリプトファン
  • バリン

など複数のアミノ酸項目があります。

Growth & Reproductionでは、これらのうち多くの項目で成犬維持期とは異なる最低量が設定されています。

手作りごはんでは、「肉が入っているからたんぱく質は大丈夫」と考えるだけでなく、実際の食材と量を合計したレシピ全体で確認することが必要です。

脂質はエネルギーだけでなく必須脂肪酸も確認する

脂質はカロリー源というだけでなく、成長期に必要な脂肪酸の供給源でもあります。

AAFCOの公開資料では、犬のGrowth & Reproductionについて、

  • リノール酸
  • α-リノレン酸
  • EPA+DHA

などの脂肪酸項目が示されています。

特に公開資料上では、α-リノレン酸やEPA+DHAはGrowth & Reproduction側に最低量があり、Adult Maintenance側では同じ扱いではない項目です。

そのため、

脂質が何gあるか だけでなく、 どの脂肪酸をどの程度含むか

も確認します。

魚や油を加えればよいと単純化するのではなく、追加した後にカロリーやほかの脂肪酸を含めてレシピ全体を再評価します。

カルシウムとリンは成長期で特に確認したい

成長期の子犬では、カルシウムとリンの量、そして2つのバランスを確認します。

Merck Veterinary Manualでは、成長期は成犬維持期よりカルシウム・リンの必要量が増えること、特に大型犬・超大型犬の成長期ではカルシウムの過剰摂取にも注意が必要であることが説明されています。

確認したいのは、

カルシウム量 + リン量 + カルシウムとリンのバランス(Ca:P比)

です。

「骨を育てたいからカルシウムを多めにする」という考え方ではなく、不足と過剰の両方を見ます。

Ca:P比の基本は、「犬の手作りごはんでカルシウムとリンのバランスはなぜ大切?Ca:P比の見方」で詳しく説明しています。

カルシウム以外のミネラルもレシピ全体で確認する

子犬の栄養確認はカルシウムだけでは終わりません。

AAFCOの犬用栄養プロファイルでは、カルシウム・リン以外にも、

  • 鉄
  • 銅
  • 亜鉛
  • マンガン
  • ヨウ素
  • セレン
  • ナトリウム
  • 塩化物
  • マグネシウム

など、複数のミネラルが扱われています。

手作りごはんでは、食材を1つ加えると1つのミネラルだけが増えるわけではありません。

そのため、「亜鉛が足りないから亜鉛を含む食材を追加」といった調整をした場合も、追加後にほかの栄養素や過剰がないか再評価する必要があります。

不足栄養素の確認方法は、「犬の手作りごはんで不足している栄養素はどうやって分かる?食材と量から確認する方法」で整理しています。

ビタミンも「野菜を入れれば十分」とは限らない

野菜を使っているから、必要なビタミンがすべて満たされているとは限りません。

AAFCOの犬用栄養プロファイルでは、

  • ビタミンA
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • チアミン(ビタミンB1)
  • リボフラビン(ビタミンB2)
  • パントテン酸
  • ナイアシン
  • ビタミンB6
  • 葉酸
  • ビタミンB12
  • コリン

などが扱われています。

食品に含まれる量は食材ごとに異なるため、野菜の量や種類だけでは判断できません。

文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年などの食品成分データをもとに、実際に何g使うかから計算します。

「不足」だけでなく「過剰」も見る

成長期では、足りない栄養素を探すだけでなく、多すぎる栄養素がないかも確認します。

AAFCOの栄養プロファイルには最低量に加えて、一部の栄養素には最大量も設定されています。

つまり、

不足が0個 だから 必ず良いレシピ

とは限りません。

食材やサプリメントを追加した結果、

  • 目的の不足は改善した
  • しかし別の栄養素が過剰になった
  • Ca:P比が崩れた

ということもあります。

子犬の成長期では、不足と過剰を同時に見ることが大切です。

「評価データ不足」は不足とは別に考える

子犬の手作りごはんの栄養評価で不足と評価データ不足を分け、データがないことを0として扱わないことを示す図

食品成分データがないことを、栄養素が0と考えてはいけません。

使っている食材について、その栄養素の成分値が収録されていない場合、

足りない のではなく、 現時点のデータでは判定できない

という状態があります。

「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、これを評価データ不足として区別しています。

評価データ不足の項目は、未知の値を0として不足判定せず、SCOREの充足項目や自動追加量の提案対象から外します。

子犬では栄養管理への不安が大きくなりやすいからこそ、「本当に不足している」と「まだ判断できない」を分けることが重要です。

nanairoのGrowth & Reproduction評価では39項目を確認する

「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、子犬向けのGrowth & Reproduction評価で39項目の栄養状態を確認できます。

ここでいう39項目は、nanairoの評価・表示上の項目数です。

AAFCOのFAQでは、犬のNutrient Profilesについて37の栄養パラメータがあると説明されています。したがって、「AAFCOに39項目ある」という意味ではありません。

nanairoでは、愛犬情報と実際に使う食材・量から、

  • エネルギー
  • たんぱく質・脂質
  • 必須アミノ酸
  • 必須脂肪酸
  • ミネラル
  • ビタミン
  • 不足・過剰
  • Ca:P比
  • 評価データ不足

などを確認し、成長期のレシピを全体で見られるようにしています。

成長中は一度作ったレシピを固定し続けない

子犬は成長に伴って体重や必要エネルギーが変わるため、一度整えたレシピをそのまま固定するのではなく定期的に見直します。

AAHA(米国動物病院協会)は、子犬には骨格成熟まで成長期に合った食事が必要で、小型・中型犬では一般に約1歳まで、大型・超大型犬では骨格成熟がより遅い場合があると説明しています。また大型犬・超大型犬では、適正な体型を保ちカルシウム過剰を避けることにも注意を促しています。

そのため、

体重が増えた ↓ 必要エネルギーを更新 ↓ 食材量を見直す ↓ Growth & Reproductionで栄養評価 ↓ 実際の食べる量・体重を確認

という流れを繰り返します。

まとめ|子犬は「特定の栄養素1つ」ではなく成長期の全体バランスを見る

子犬の手作りごはんで確認したいのは、カルシウムやたんぱく質など1つの栄養素だけではありません。

基本は、

必要エネルギー ↓ たんぱく質・必須アミノ酸 ↓ 脂質・必須脂肪酸 ↓ カルシウム・リンを含むミネラル ↓ ビタミン ↓ 不足・過剰 ↓ Ca:P比 ↓ 評価データ不足の有無

をまとめて確認することです。

成長期は必要な量や比率が成犬と異なるため、成犬用の考え方をそのまま当てはめず、今の月齢・体重・ライフステージに合った基準でレシピ全体を見ることが大切です。

よくある質問

子犬はカルシウムを多めにすれば骨が丈夫になりますか?

多ければよいわけではありません。カルシウム量だけでなくリン量、Ca:P比、過剰になっていないかも確認します。特に大型犬・超大型犬の成長期ではカルシウム過剰への注意が必要です。

子犬はたんぱく質が多ければ栄養バランスは良いですか?

たんぱく質は重要ですが、それだけでは十分ではありません。必須アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなども含めてレシピ全体を確認します。

子犬の手作りごはんでは毎日39項目を自分で計算する必要がありますか?

39項目はnanairoのGrowth & Reproduction評価で確認する項目数です。飼い主さんが手作業で39項目を毎日計算するという意味ではありません。食材と量からまとめて評価するための表示です。

「評価データ不足」があったら、その栄養素をサプリで足した方がいいですか?

評価データ不足は不足とは限りません。食品成分データが足りず判定できない状態なので、未知の値を0として自動的に追加するのは避けます。

※本記事は健康な子犬の手作りごはんを考えるための一般的な情報です。成長不良、消化器症状、持病がある場合、大型犬・超大型犬の成長期の栄養設計など、健康状態や成長に不安がある場合は獣医師などの専門家に相談してください。