犬の手作りごはんでは、カルシウムとリンをそれぞれ必要量に近づけるだけでなく、2つのバランス(Ca:P比)も確認します。Ca:P比とは、レシピに含まれるカルシウム量をリン量で割った比率です。
AAFCOが公開しているDog Food Nutrient Profiles資料では、犬のCa:P比について1:1〜2:1の範囲が示されています。ただし、比率が範囲内でも、カルシウムとリンの量そのものが不足していれば十分とはいえません。
この記事では、Ca:P比の計算方法、量と比率を両方見る理由、手作りごはんでバランスが崩れたときの考え方を整理します。
Ca:P比とはカルシウム量とリン量の比率

Ca:P比は、レシピ全体に含まれるカルシウム(Ca)とリン(P)の量のバランスを表す数値です。
計算は、
Ca:P比 = カルシウム量 ÷ リン量 : 1
と考えると分かりやすくなります。
たとえばレシピ全体に、
カルシウム:600mg
リン:500mg
含まれているなら、
600 ÷ 500 = 1.2
なので、
Ca:P比は1.2:1
です。
ここで大切なのは、食材1つの比率ではなく、実際に使うすべての食材を合計したレシピ全体のCa:P比を見ることです。
AAFCOの公開資料ではCa:P比1:1〜2:1が示されている

※図中の煮干し・鶏肉は栄養の方向性を説明する簡略例です。実際には食品はカルシウムとリンを両方含むため、単一食品を一律に追加せず、食材と量からレシピ全体を再計算します。
犬の手作りごはんでCa:P比を見るとき、nanairoではAAFCOが公開しているDog Food Nutrient Profilesの値を参考にしています。
AAFCO(米国飼料検査官協会)が公開しているDog Food Nutrient Profiles資料では、Ca:P比について、
最小 1:1
最大 2:1
が示されています。
この範囲は、公開資料上ではAdult Maintenance(成犬維持期)とGrowth & Reproduction(成長・繁殖期)の両方に示されています。
ただし、成犬と子犬でカルシウム・リンそのものの必要量が同じという意味ではありません。ライフステージによって個別の必要量は異なるため、比率だけでなくカルシウム量・リン量もそれぞれ確認する必要があります。
子犬の栄養については、「子犬の手作りごはん、成犬と同じ栄養バランスでいい?成長期に確認したいポイント」で詳しく説明しています。
Ca:P比が適正でも、カルシウムとリンの量が足りるとは限らない
Ca:P比は「割合」を見る指標なので、比率が良くても絶対量が不足している可能性があります。
極端な説明例として、
カルシウム:100mg
リン:100mg
なら、
Ca:P比は1:1
です。
比率だけを見ると範囲内ですが、その犬の必要量に対して100mgずつで十分かどうかは別に確認しなければなりません。
逆に、カルシウムとリンの個別量だけでなく、両者の組み合わせによってCa:P比が範囲を外れていないかも確認します。
そのため、確認するのは、
カルシウムの量 + リンの量 + Ca:P比
の3つです。
肉中心のレシピではリンが多く、カルシウムが少なくなりやすい場合がある
手作りごはんでは、肉を中心に組むとCa:P比が低くなることがあります。
獣医療の専門情報をまとめたMerck Veterinary Manualでも、肉のみ・肉中心の食事はリンが多くカルシウムが少ないため、カルシウム不足が起こり得ることが説明されています。
たとえば、
肉
+ ごはん
+ 野菜
だけで構成したレシピでは、食材の組み合わせによってリンに対してカルシウムが十分に確保できない場合があります。
だからといって、「肉を使ってはいけない」という意味ではありません。
大切なのは、実際の食材と使用量からカルシウムとリンを合計し、レシピ全体で確認することです。
Ca:P比が低いときは、カルシウムだけを見て追加しない
Ca:P比が1:1を下回った場合でも、すぐにカルシウム源を大量に追加するのではなく、原因を確認します。
Ca:P比が低い理由には、
- カルシウム量が少ない
- リン量が多い
- 両方が重なっている
といった可能性があります。
そのため、
Ca:P比が低い ↓ カルシウムの量を確認 ↓ リンの量を確認 ↓ 食材構成を確認 ↓ 必要な範囲で調整 ↓ 変更後に再評価
という順番で考えます。
不足栄養素をどう確認するかは、「犬の手作りごはんで不足している栄養素はどうやって分かる?食材と量から確認する方法」で整理しています。
Ca:P比が高いときも、単純にリンを足せばよいとは限らない
Ca:P比が2:1を超える場合も、比率だけを見てリンを追加するのではなく、カルシウムとリンの量を確認します。
比率が高い理由は、
- カルシウム量が多い
- リン量が少ない
- 食材やサプリメントの追加でバランスが変わった
などが考えられます。
たとえばカルシウムを補う目的でサプリメントを追加した結果、カルシウム不足は改善しても、Ca:P比が高くなる可能性があります。
そのため、追加前後でレシピ全体を再評価します。
サプリ追加による他の栄養素への影響は、「犬の手作りごはんにサプリを追加したら、ほかの栄養素はどうなる?追加後に全体を再評価する理由」で詳しく説明しています。
カルシウム源を加えると、ほかの栄養素も変わる
Ca:P比を整えるために食材を追加すると、カルシウムだけでなくほかの栄養素も変化します。
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では、食品ごとにカルシウム、リン、たんぱく質、脂質、ビタミン、その他のミネラルなど複数の成分値が示されています。
そのためカルシウムを補う目的で食品を追加しても、
- リンも増える
- カロリーが増える
- 脂質が変わる
- 別のミネラルが変わる
ことがあります。
食材追加後はCa:P比だけでなく、レシピ全体をもう一度確認します。
不足後の調整については、「犬の手作りごはんで不足栄養素が見つかったら、食材を増やせばいい?全体を崩さず整える方法」で詳しく説明しています。
子犬ではCa:P比だけでなくカルシウム量の確認が特に重要
成長期の子犬では、骨格が発達しているため、Ca:P比だけでなくカルシウム・リンの量そのものをライフステージに合った基準で確認します。
AAFCOの公開資料でも、Growth & ReproductionとAdult Maintenanceではカルシウム・リンの最低量が異なります。
つまり、
Ca:P比が1.2:1だから大丈夫
と比率だけで判断することはできません。
成長期では、
- カルシウム量
- リン量
- Ca:P比
- 必要エネルギー
- ほかの栄養素
をまとめて確認します。
特に子犬の食事を大きく調整する場合は、獣医師などの専門家への相談も検討してください。
nanairoではカルシウム・リンの評価とCa:P比を分けて確認できる
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、カルシウムとリンの栄養評価に加えて、Ca:P比を別に表示します。
現在の栄養分析レポートでは、
Ca:P比 ○○ : 1 と、 目安 1 : 1 〜 2 : 1
を確認できます。
たとえばCa:P比が1.27:1なら「適正」、0.18:1のように範囲を大きく外れる場合は「要調整」と表示される例があります。
ただし、Ca:P比が適正ならレシピ全体が完成という意味ではありません。
nanairoでは、
- カルシウムの不足・過剰
- リンの不足・過剰
- Ca:P比
- その他のビタミン・ミネラル
- 必須アミノ酸・必須脂肪酸
- エネルギー
などを合わせて確認します。
食材やサプリメントを追加した場合も、目的の栄養素だけではなくレシピ全体を再評価します。
まとめ|Ca:P比は「比率」と「それぞれの量」をセットで見る
犬の手作りごはんでは、カルシウムとリンを個別に見るだけでなく、2つのバランスであるCa:P比も確認します。
AAFCOが公開しているDog Food Nutrient Profiles資料では、Ca:P比として1:1〜2:1が示されています。
ただし、
Ca:P比が範囲内 = カルシウムとリンの必要量を満たしている
とは限りません。
確認したいのは、
カルシウム量 ↓ リン量 ↓ Ca:P比 ↓ 変更後のレシピ全体
です。
比率だけを合わせるのではなく、愛犬のライフステージとレシピ全体の栄養バランスを見ながら整えていきます。
よくある質問
Ca:P比が1:1〜2:1なら、カルシウム不足ではないということですか?
いいえ。Ca:P比はカルシウムとリンの「割合」です。比率が範囲内でも、カルシウムとリンの量そのものが必要量に届いていない可能性があるため、それぞれの量も確認します。
肉が多い手作りごはんではCa:P比が低くなりますか?
食材の種類や量によりますが、肉中心の食事はリンが多くカルシウムが少なくなりやすい場合があります。実際のレシピ全体でカルシウム量・リン量・Ca:P比を計算して確認します。
Ca:P比が低いならカルシウムサプリを足せばいいですか?
必ずしもそうではありません。カルシウム不足なのか、リンが多いのかを確認し、食材調整で対応できるかも含めて考えます。サプリメントを追加した場合もレシピ全体を再評価します。
サプリメントを使うかどうかを判断する順番は、「犬の手作りごはんにサプリは必要?まず確認したいこと」で詳しく説明しています。
子犬もCa:P比1:1〜2:1を見れば十分ですか?
比率だけでは不十分です。子犬は成長期用のカルシウム・リン必要量が成犬とは異なるため、Growth & Reproductionの基準で各栄養素の量も合わせて確認します。
※本記事は健康な犬の手作りごはんを考えるための一般的な情報です。病気の治療中、療法食を使用している、子犬の成長や健康状態に心配がある場合は、獣医師などの専門家に相談してください。

