犬の手作りごはんで不足栄養素が見つかっても、その栄養素を含む食材を単純に増やせば終わり、とは限りません。 食材を増やすと、目的の栄養素だけでなく、カロリー、たんぱく質、脂質、ほかのビタミン・ミネラルなども一緒に変わるためです。
基本は、本当に「不足」なのかを確認 → 今ある食材の量を調整 → 必要なら別の食材を追加 → それでも難しい場合にサプリメントを検討 → 変更後のレシピ全体を再評価という順番で考えます。
この記事では、不足を見つけた後に「何をどれだけ変えればよいか」を考えるときの整理方法を解説します。
まず「不足」なのか「評価データ不足」なのかを確認する
補い方を考える前に、その表示が本当に不足を意味しているのかを確認します。
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、
- 基準と比較でき、必要量に届いていない → 不足
- 食品成分データが足りず、足りる・足りないを判定できない → 評価データ不足
を分けています。
評価データ不足は、栄養素が0という意味ではありません。
そのため、評価データ不足を「不足」と思って食材やサプリメントを追加すると、実際には必要量を満たしていた栄養素を増やしてしまう可能性があります。
不足の見つけ方そのものは、「犬の手作りごはんで不足している栄養素はどうやって分かる?食材と量から確認する方法」で詳しく説明しています。
1つの食材を増やすと、1つの栄養素だけが増えるわけではない
食材は複数の栄養素を含むため、1つ増やすとレシピ全体の数値が一緒に動きます。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年には、食品ごとにエネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの標準的な成分値が掲載されています。
つまり、ある栄養素を補う目的で食材を10g追加したときも、実際には、
- 目的の栄養素
- カロリー
- たんぱく質
- 脂質
- 別のビタミン
- 別のミネラル
などが同時に変化します。
そのため、
不足している栄養素を見つける ↓ その栄養素を多く含む食材を増やす ↓ 不足だけ確認して終了
ではなく、
追加後にレシピ全体をもう一度見る
ことが重要です。
最初は「今ある食材」の量を調整できないか確認する
不足を補うときは、新しい食材を追加する前に、現在のレシピ内で調整できるかを確認すると整理しやすくなります。
たとえば、すでに使っている食材の中に不足栄養素を含むものがあれば、その食材を少し増やすことで改善できる場合があります。
ただし、増やすだけでは1日の必要エネルギーを超えることもあります。
その場合は、
ある食材を少し増やす + 別の食材を少し減らす
というように、「追加」ではなく置き換えとして考える方法もあります。
このとき見るのは不足栄養素だけではありません。
- 1日の必要エネルギー
- たんぱく質・脂質・炭水化物のバランス
- ほかの不足栄養素
- 過剰になった栄養素がないか
- カルシウムとリンのバランス(Ca:P比)
まで確認します。
材料のグラム数そのものをどう考えるかは、「犬の手作りごはん、肉・野菜・ごはんは何グラムずつ?割合だけで決めていい?」でも整理しています。
今ある食材だけで難しいなら、追加食材の候補を考える

現在の食材量を調整しても不足を補えない場合は、新しい食材を追加する方法を考えます。
このとき大切なのは、「その栄養素が多い食材」という理由だけで決めないことです。
候補ごとに、
- 目的の栄養素をどの程度補えるか
- カロリーがどれくらい増えるか
- 脂質やたんぱく質が増えすぎないか
- ほかのミネラルやビタミンがどう変わるか
- すでに過剰な栄養素をさらに増やさないか
を比べます。
AAFCO(米国飼料検査官協会)のDog Food Nutrient Profilesには、犬について複数の栄養パラメータがあり、最低量だけでなく一部には最大量も設定されています。また、必要な量や比率はライフステージによって異なり、栄養基準はカロリーとの比率を基礎にしています。
そのため、1項目だけを「基準以上にする」ことよりも、レシピ全体を基準の中へ整えるという考え方が重要です。
「足す」より「入れ替える」ほうが整えやすいこともある
カロリーがすでに必要量に近いレシピでは、食材を追加し続けると総カロリーが増えすぎることがあります。
たとえば、
不足栄養素を補うために食材Aを追加 ↓ カロリーも増える ↓ 1日のごはん量やエネルギーが合わなくなる
ということがあります。
この場合は、
不足を補いやすい食材を増やす + 同じ役割の別食材を減らす
という調整が考えられます。
単純な足し算ではなく、レシピ全体の構成を組み替えるイメージです。
ただし、置き換えでもほかの栄養素は変わるため、変更後の再評価は必要です。
不足が1つ改善しても、新しい過剰や別の不足が出ることがある

調整後は、最初に不足していた栄養素だけでなく、全項目をもう一度確認します。
たとえば、目的の栄養素が不足から適正になっても、
- カロリーが高くなった
- 脂質が増えた
- 別のミネラルが過剰になった
- カルシウムとリンの比率が変わった
- 別の不足項目が残っている
ということがあります。
そのため、
不足を発見 ↓ 食材量を変更 ↓ 目的の栄養素が改善 ↓ レシピ全体を再評価 ↓ 新しい不足・過剰・バランス崩れがないか確認
までを1セットとして考えます。
「犬の手作りごはんの栄養、足りてる?家庭で確認したいポイント」では、エネルギー、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、必須脂肪酸などをレシピ全体で確認する考え方を説明しています。
食材だけで整えにくい場合はサプリメントも選択肢になる
必要な栄養素によっては、食材だけで補おうとすると量やカロリーが大きく変わりすぎる場合があります。
そのような場合には、成分量が明確なサプリメントを選択肢として考えることがあります。
ただし、
「不足している」 ↓ 「サプリを足す」
と直結させるのではなく、
今ある食材で調整できるか ↓ 追加食材で補えるか ↓ それでも難しい場合にサプリメントを検討
という順番で考えます。
サプリメントも複数の栄養素を含む製品があるため、追加後はレシピ全体を再評価する必要があります。
サプリメント追加後の再評価は、「犬の手作りごはんにサプリを追加したら、ほかの栄養素はどうなる?追加後に全体を再評価する理由」で詳しく説明しています。
サプリメントを検討するタイミングや成分量の確認方法は、「犬の手作りごはんにサプリは必要?まず確認したいこと」で整理しています。
少量しか必要ない栄養素ほど「多めに足しておく」は避ける
微量栄養素は必要量が少ないからこそ、自己判断で多めに追加しないことが重要です。
AAFCOも、犬の栄養プロファイルには最低量と一部の最大量があり、微量栄養素には必要量が非常に少ないものもあると説明しています。
「不足なら多めに入れておけば安心」ではありません。
不足量に対してどの程度追加するのかを確認し、追加後に過剰になっていないかを見ます。
特に健康状態や治療内容によって栄養管理が異なる犬では、自己判断で大きく調整せず、獣医師などの専門家へ相談してください。
nanairoでは「不足を埋める」だけでなく、追加後の全体を再評価する
「犬の手作りごはん診断 nanairo」の補い方のヒントでは、不足している栄養素を見つけた後も、1項目だけを増やして終了しません。
考え方は、
今ある食材で調整 ↓ 追加食材の候補 ↓ 必要な場合にサプリメント候補 ↓ 追加後のレシピ全体を再計算 ↓ 新しい過剰や既存の過剰悪化がないか確認
です。
食材やサプリメントを追加した候補について、
- エネルギー
- 栄養バランス
- 不足
- 過剰
- カルシウムとリンのバランス(Ca:P比)
などをもう一度確認します。
また、食品成分データが不足して正確に判定できない栄養素は「評価データ不足」として扱い、安全のため自動追加量の提案対象にしません。
「何を足せば不足が消えるか」だけではなく、足した後もレシピ全体が整っているかまで確認することを重視しています。
まとめ|不足栄養素は「1つ足して終わり」ではなく、レシピ全体で整える
犬の手作りごはんで不足栄養素が見つかったら、単純にその栄養素を含む食材を増やせばよいとは限りません。
基本の順番は、
本当に不足か確認 ↓ 今ある食材の量を調整 ↓ 必要なら追加食材を検討 ↓ 食材だけで難しければサプリメントも検討 ↓ 変更後のレシピ全体を再評価
です。
食材を1つ増やすだけでも、カロリー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、Ca:P比など複数の項目が変わります。
だからこそ、不足している1項目を埋めることより、変更後のレシピ全体が愛犬に合った状態になっているかを確認することが大切です。
よくある質問
不足している栄養素が1つだけなら、その栄養素が多い食材を足せばいいですか?
候補にはなりますが、追加するとカロリーやほかの栄養素も変わります。目的の不足が改善した後に、新しい過剰や別の不足がないかレシピ全体を再評価します。
食材を増やすとカロリーオーバーになる場合はどうすればいいですか?
単純に追加するのではなく、不足を補いやすい食材を増やし、別の食材を減らす「置き換え」で調整できる場合があります。変更後は必要エネルギーと栄養バランスを再確認します。
不足があるならサプリメントを使ったほうが早いですか?
必ずしもそうではありません。まず今ある食材や追加食材で調整できるか確認し、食材だけで整えにくい場合にサプリメントを選択肢として考えます。
調整後は不足していた栄養素だけ確認すればいいですか?
いいえ。食材やサプリメントの追加で複数の栄養素が変わるため、カロリー、不足、過剰、Ca:P比などレシピ全体を再評価します。
※本記事は健康な犬の手作りごはんを考えるための一般的な情報です。病気の治療中、療法食を使用している、成長や健康状態に心配がある場合は、獣医師などの専門家に相談してください。

