犬の手作りごはんで「栄養バランスが良いレシピ」かどうかは、食材の種類が多い、カロリーが合っている、点数が高い、といった1つの条件だけでは判断できません。
確認したいのは、愛犬のライフステージに合った必要エネルギー、必須栄養素の不足・過剰、カルシウムとリンのバランス(Ca:P比)、実際に食べられる量などです。さらに、食品成分データが不足して判定できない項目は「問題なし」とは扱わず、評価できている範囲と分けて考えます。
この記事では、手作りごはんのレシピを見たときに「何を確認すればよいか」を順番に整理します。
「栄養バランスが良い」は食材の種類が多いことではない
肉・魚・野菜・ごはんをたくさん組み合わせても、それだけで栄養バランスが整っているとは限りません。
同じ食材を使っていても、
- 肉50gか100gか
- 油を使うか
- カルシウム源を入れるか
- 野菜の種類と量
- 1日に食べる総量
によって栄養量は変わります。
「いろいろな食材が入っているから大丈夫」ではなく、実際の食材とグラム数からレシピ全体を計算することが基本です。
材料量の考え方は、「犬の手作りごはん、肉・野菜・ごはんは何グラムずつ?割合だけで決めていい?」で詳しく説明しています。
まず愛犬のライフステージと必要エネルギーを見る

良いレシピかどうかは、誰が食べるかによって変わります。
成犬と子犬では必要な栄養量や比率が同じではありません。
AAFCO(米国飼料検査官協会)では、「complete」は必要な栄養素を含むこと、「balanced」はそれらが適切な比率で含まれることと説明し、ライフステージによって必要な栄養量や比率が異なるとしています。
そのため最初に、
- 年齢
- ライフステージ
- 体重
- 活動量
- 1日に必要なエネルギー
を確認します。
また、必要エネルギーの計算値は固定的な正解ではありません。Merck Veterinary Manualでも、同じ体重の犬でも維持に必要なエネルギーには個体差があり、計算式は出発点として扱うことが説明されています。
カロリーが合っていても、栄養バランスが良いとは限らない
1日の必要カロリーを満たしていても、ビタミンやミネラルなどが不足している可能性があります。
たとえば、
必要エネルギー:420kcal
レシピから摂れるエネルギー:420kcal
なら、エネルギー量だけを見ると一致しています。
しかし、その420kcalの中に、
- 必要なたんぱく質
- 必須アミノ酸
- 必須脂肪酸
- ビタミン
- ミネラル
が適切に含まれているかは別の確認です。
反対に、栄養素を補おうとして食材やサプリを追加すると、カロリーが増えすぎる場合もあります。
つまり、エネルギーと栄養素は両方を見る必要があります。
1日のごはん量については、「犬の手作りごはんは1日何グラム?体重だけでは決められない理由」で整理しています。
PFCは全体像を見るのに役立つが、それだけでは足りない
たんぱく質・脂質・炭水化物のバランス(PFC)は、レシピの大まかな構成を見るのに役立ちます。
ただし、PFCだけを見ても、
- カルシウム
- 亜鉛
- 銅
- ヨウ素
- ビタミンD
- ビタミンB群
- 必須アミノ酸
- 必須脂肪酸
などの充足状態は分かりません。
そのためPFCは、レシピの全体像をつかむ補助指標として使い、栄養評価そのものはより細かい項目まで確認します。
ビタミン・ミネラル・必須アミノ酸・必須脂肪酸まで確認する
栄養バランスを見るときは、主要栄養素だけでなく微量栄養素まで確認します。
子犬の成長期で具体的に確認したい栄養項目は、「子犬の手作りごはんで確認したい栄養素とは?成長期に見るポイント」で整理しています。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年では、食品ごとにエネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどが示され、アミノ酸成分表や脂肪酸成分表も公開されています。
食材の種類と量を合計し、必要な栄養素がどの程度含まれているかを見ることで、
見た目はバランスが良さそう と 実際に必要量を満たしている
を分けて考えられます。
不足栄養素の確認方法は、「犬の手作りごはんで不足している栄養素はどうやって分かる?食材と量から確認する方法」で詳しく説明しています。
不足だけでなく「過剰」も確認する
栄養バランスが良いかを見るときは、不足がないことだけでなく、多すぎる栄養素がないかも確認します。
AAFCOのDog Food Nutrient Profilesでは、最低量が設定される栄養素に加え、一部には最大量も設定されています。
そのため、
すべて不足なし でも、 一部が過剰
なら、さらに調整が必要な場合があります。
特に、食材やサプリメントを追加して不足を補った後は、新しい過剰が出ていないかを確認します。
サプリ追加後の考え方は、「犬の手作りごはんにサプリを追加したら、ほかの栄養素はどうなる?」で詳しく説明しています。
カルシウムとリンは量に加えてCa:P比を見る
カルシウムとリンは、それぞれの量だけでなく2つの比率も確認します。
カルシウムとリンのバランス(Ca:P比)が範囲内でも、両方の量そのものが不足していれば十分とはいえません。
反対に、それぞれの量を確認したうえで、2つのバランスが適切かを見る必要があります。
つまり、
カルシウム量 + リン量 + Ca:P比
をセットで確認します。
詳しくは、「犬の手作りごはんでカルシウムとリンのバランスはなぜ大切?Ca:P比の見方」で解説しています。
「評価データ不足」がないか確認する
判定できない栄養素を、問題なしとして数えないことも大切です。
食品成分データには、食品によって収録されていない成分があります。
その場合、
データがない = 栄養素が0 でも、 十分に含まれている でもありません。
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、食品成分データが不足して正確に判定できない項目を評価データ不足として区別します。
そのため、「不足なし」という結果だけでなく、何項目まで実際に判定できているかも確認します。
SCOREが高ければ「良いレシピ」と決めていいわけではない

nanairoのSCOREは、栄養評価を見やすくまとめるためのアプリ独自の指標です。
AAFCOに公式の「100点満点のSCORE」があるわけではなく、nanairoのSCOREはAAFCOの認証や公式評価ではありません。
SCOREを見るときは、
- どの栄養素が不足しているか
- 過剰があるか
- 評価データ不足があるか
- Ca:P比はどうか
- 愛犬の必要エネルギーと合っているか
という内訳とセットで見ることが重要です。
点数そのものを目的にするのではなく、「どこを確認し直すべきか」を見つけるための入口として使います。
計算上よくても、実際に食べられなければ摂取量は足りない
レシピの計算結果が整っていても、愛犬が予定量を食べられなければ、実際の栄養摂取量は少なくなります。
たとえば、
予定:1日250g
実際:1日150g
なら、食べたカロリーだけでなく、レシピ由来の栄養素摂取量も予定より少なくなります。
そのため、良いレシピかどうかは、
計算上のレシピ だけでなく、 実際にどのくらい食べているか
までつなげて考えます。
食事量の記録については、「犬の食事量を毎日記録するメリットは?何を残しておけばいい?」で詳しく説明しています。
体重や体型の変化を見ながら調整する
必要エネルギーや給与量は、計算したら固定するのではなく、実際の体重や体型を見ながら調整します。
Merck Veterinary Manualでは、犬のエネルギー要求量には大きな個体差があり、計算値を出発点として体重やボディコンディションスコア(BCS:体脂肪のつき方を外見や触診から評価する指標)を見ながら調整する考え方が示されています。
つまり「良いレシピ」とは、
計算上の栄養だけが整っている のではなく、 愛犬が適量を食べ、体重や体型を適切に保てる
ところまで含めて考えます。
nanairoでは「点数」ではなく複数の確認項目をつなげて見る
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、1つの数字だけではなく、複数の情報をまとめて確認します。
基本の流れは、
愛犬情報 ↓ 必要エネルギー ↓ 食材と量 ↓ PFC ↓ AAFCO公開基準値を参考にした栄養評価 ↓ 不足・過剰・評価データ不足 ↓ Ca:P比 ↓ 必要なら改善 ↓ 実際に食べた量と体重を記録
です。
また、食材やサプリメントを変更した場合は、その変更後のレシピ全体を再評価します。
nanairoのSCOREは、この確認を見やすくするための一つのまとめ指標であり、SCOREだけでレシピの良し悪しを決めるものではありません。
まとめ|「良いレシピ」は1つの数値ではなく全体で判断する
犬の手作りごはんで栄養バランスが良いレシピかを見るときは、食材の種類、カロリー、SCOREなど1項目だけで判断しません。
確認したいのは、
愛犬のライフステージ ↓ 必要エネルギー ↓ 主要栄養素 ↓ ビタミン・ミネラル・必須アミノ酸・必須脂肪酸 ↓ 不足・過剰 ↓ Ca:P比 ↓ 評価データ不足 ↓ 実際に食べた量と体重変化
です。
「何点なら良い」「この食材が入っていれば良い」ではなく、その犬が必要とする栄養を、実際に食べられる量の中で無理なく満たせているかを確認していくことが大切です。
よくある質問
SCOREが100点なら栄養バランスが完璧ということですか?
nanairoのSCOREはアプリ独自のまとめ指標で、AAFCO公式の点数や認証ではありません。評価データ不足、Ca:P比、過剰、実際の摂取量なども合わせて確認します。
必要カロリーを満たしていれば栄養バランスも足りていますか?
いいえ。カロリーが合っていても、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、必須脂肪酸などが不足する可能性があります。
食材の種類が多いほど良いレシピになりますか?
食材の種類より、実際に何を何g使うかが重要です。種類が多くても使用量によって不足や過剰が起こるため、レシピ全体を計算します。
レシピの栄養評価が良ければ、ずっと同じ量でいいですか?
必要エネルギーには個体差があり、年齢・活動量・体重変化などでも変わります。食事量、体重、体型を見ながら必要に応じて調整します。
※本記事は健康な犬の手作りごはんを考えるための一般的な情報です。病気の治療中、療法食を使用している、子犬・妊娠授乳期など栄養要求が大きく異なる場合は、獣医師などの専門家に相談してください。

