子犬の手作りごはんは、成犬用の栄養バランスをそのまま当てはめてよいとは限りません。成長期は、体を維持するだけでなく、骨・筋肉・臓器などをつくっていく時期なので、必要とする栄養素の量や比率が成犬維持期とは異なります。
そのため、成犬用の基準で整えたレシピを子犬にそのまま使うのではなく、子犬のライフステージに合った基準で、実際の食材と量からレシピ全体を再評価することが大切です。
この記事では、「子犬の手作りごはんは成犬と同じでいい?」という疑問について、成長期に確認したい栄養の考え方を整理します。
子犬と成犬では確認する栄養バランスが同じとは限らない

子犬は「小さい成犬」ではなく、成長のための栄養が必要なライフステージです。
AAFCOでは、犬の栄養プロファイルを「Adult Maintenance」と「Growth & Reproduction」に分けています。AAFCO自身も、成長期の子犬と成犬では、必要な栄養素の量や比率、給与量が異なると説明しています。
つまり、
成犬で基準を満たしている
=
子犬でも同じように満たしている
とは限りません。
同じ食材を使うレシピであっても、子犬ではGrowth & Reproductionの基準で確認する必要があります。
成犬は「維持」、子犬は「成長」まで考える
成犬では、現在の体を維持し、日々の活動に必要な栄養をとることが中心になります。
一方、子犬ではそれに加えて、
- 骨や歯の発育
- 筋肉や臓器の成長
- 神経系の発達
- 体重・体格の増加
など、成長そのものに栄養が使われます。
そのため、必要エネルギーやたんぱく質だけでなく、必須アミノ酸、必須脂肪酸、ミネラルなども成犬維持期とは異なる基準で見る必要があります。
子犬ではエネルギー量も成犬と同じ考え方にはしない
成長中の子犬は、体重だけを見て成犬と同じエネルギー計算を使うものではありません。
Merck Veterinary Manualでも、健康な子犬のエネルギー要求量は成犬とは別に示され、月齢によっても変化します。
これは、子犬が成長にエネルギーを使うためです。
ただし、計算で出した必要エネルギーも固定値ではありません。子犬ごとに成長速度や活動量が異なるため、体重の増え方、体型、実際に食べた量などを見ながら調整します。
「たくさん食べれば早く育つ」が正解ではない
子犬は成長期だからといって、必要以上にカロリーを増やせばよいわけではありません。
成長中に過剰なエネルギーを与えると、必要以上に速い体重増加につながることがあります。
特に大型犬・超大型犬では、成長速度やミネラルバランスへの配慮がより重要です。
子犬では、
必要なエネルギーを確保する
ことと、
過剰に与えない
ことの両方を見ます。
たんぱく質だけでなく必須アミノ酸まで確認する
「肉を多く入れているから子犬に必要なたんぱく質は大丈夫」とは限りません。
AAFCOのGrowth & Reproductionでは、粗たんぱく質だけでなく、アルギニン、リジン、メチオニンなど複数の必須アミノ酸についても基準があります。
成長期には、体をつくる材料となるたんぱく質の量だけでなく、その中身まで見る必要があります。
手作りごはんでは、
肉を使っているか
ではなく、
どの食材を何g使い、その結果として必要なアミノ酸を満たしているか
を確認することが大切です。
脂質は量だけでなく成長期に必要な脂肪酸も確認する
子犬では、脂質量だけでなく必須脂肪酸の種類も確認します。
AAFCOのGrowth & Reproductionでは、成犬維持期とは異なり、成長・繁殖期を対象にした脂肪酸の基準があります。
脂質はエネルギー源になるだけでなく、細胞膜など体をつくる材料にもなります。
そのため、
- 脂質が何gあるか
- リノール酸などが足りているか
- 成長期に確認したい脂肪酸が満たされているか
といった複数の項目を見ます。
カルシウムとリンは「多く入れる」より量と比率を確認する
子犬の成長期では、カルシウムやリンは特に慎重に確認したい栄養素です。
骨が成長しているため、「カルシウムを多く与えた方がよい」と考えやすいですが、単純に多く追加すればよいわけではありません。
カルシウムとリンは、
カルシウム量
+
リン量
+
Ca:P比
を合わせて確認します。
Merck Veterinary Manualでも、成長期はカルシウムとリンの必要量が維持期より高く、適切なバランスが重要とされています。特に大型犬・超大型犬の成長期では、カルシウムの過剰摂取にも注意が必要とされています。
サプリを足す前にレシピ全体を見る
手作りごはんでカルシウム不足が気になった場合も、
カルシウム不足
↓
カルシウムサプリを追加
↓
終了
とは考えません。
追加すると、レシピ全体のカルシウム量やCa:P比が変化します。
不足を補う場合も、追加した後にレシピ全体をもう一度評価することが大切です。
成犬用レシピを子犬に使うなら「材料」ではなく基準を切り替えて再評価する
成犬用に作ったレシピと同じ食材を子犬に使うこと自体と、そのレシピが子犬の栄養基準を満たすことは別の問題です。
たとえば、
- 鶏肉
- 卵
- ごはん
- 野菜
- 油
という組み合わせを成犬にも子犬にも使うことはあり得ます。
しかし、同じ材料だからといって、同じグラム数・同じ比率でよいとは限りません。
子犬では、
子犬の必要エネルギー
↓
Growth & Reproductionの栄養基準
↓
実際に使用する食材と量
↓
不足・過剰
↓
Ca:P比などのバランス
という順番で確認します。
成犬用レシピをそのままコピーするのではなく、子犬用の基準へ切り替えて再評価することがポイントです。
子犬の手作りごはんでは「何を入れたか」より実際の食材量を見る
子犬でも、食材の種類だけでは栄養が足りているか判断できません。
肉・野菜・ごはん・卵などが入っていても、それぞれの使用量によってレシピ全体の栄養量は変わります。
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では、食品ごとにエネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸などの標準成分値が公開されています。
手作りごはんを評価するときは、
食材名
+
実際に使用するグラム数
から栄養量を計算し、子犬の基準と比較します。
手作りごはん全体の栄養確認については、「犬の手作りごはんの栄養、足りてる?家庭で確認したいポイント」でも詳しく説明しています。
成分データがない栄養素は「不足」と決めつけない
子犬では確認項目が多いからこそ、食品成分データがあるかどうかも重要です。
食品成分表にある食材でも、すべての栄養素について分析値がそろっているとは限りません。
値がない項目を「0」として扱うと、本当は分からないものを「不足」と判定してしまう可能性があります。
「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、評価に必要な成分データが不足している場合は、未知の値を0とはせず、「評価データ不足」として区別します。
また、その状態では安全のため自動追加量を提案しません。
「不足している」と「データが足りず判断できない」を分けることも、子犬のレシピを確認するときには大切です。
「不足」と「評価データ不足」の違いや、食材と量から不足を確認する流れは、「犬の手作りごはんで不足している栄養素はどうやって分かる?」で詳しく説明しています。
nanairoでは子犬をGrowth & Reproductionで評価する

「犬の手作りごはん診断 nanairo」では、子犬のレシピを成犬維持用の評価のまま確認しません。
愛犬情報で子犬のライフステージを設定すると、AAFCO Dog Food Nutrient Profilesの「Growth & Reproduction」の公開基準値を参考にして評価します。
nanairoのGrowth & Reproduction評価では、39項目の栄養状態を確認できます。
これは「AAFCOに39項目という名称の基準がある」という意味ではなく、AAFCOの公開基準などを参考に、nanairo側で確認・表示している評価項目数です。
子犬の手作りごはんで具体的に確認したい栄養素を詳しく見る →
確認する流れは、
愛犬の体重・月齢・ライフステージ・活動量
↓
子犬として必要なエネルギーを確認
↓
実際に使用する食材と量を入力
↓
Growth & Reproductionで39項目を確認
↓
不足・過剰やCa:P比を確認
↓
必要なら食材やサプリメントを調整
↓
変更後のレシピ全体を再評価
となります。
子犬は成長するので、一度作ったレシピを固定し続けない
子犬の体重や必要エネルギーは成長とともに変化します。
一度バランスを確認したレシピでも、数か月後に同じ量がそのまま合うとは限りません。
確認したいのは、
- 現在の体重
- 月齢
- 1日に必要なエネルギー
- 実際に食べた量
- 体重の増え方
- 体型
- 現在のレシピの栄養バランス
です。
成長に合わせて愛犬情報を更新し、その時点の条件でレシピを再評価していきます。
nanairoでは、保存したレシピも現在の愛犬情報を使って再評価できます。
まとめ|子犬は成犬用の基準をそのまま使わず、成長期に合った栄養で確認する
子犬の手作りごはんは、成犬用の栄養バランスをそのまま当てはめて判断するものではありません。
大切なのは、
子犬のライフステージ
+
必要エネルギー
+
実際の食材と量
+
Growth & Reproductionの栄養基準
+
不足・過剰
+
Ca:P比
+
成長に合わせた再評価
を一つにつなげて考えることです。
同じ食材を使える場合でも、成犬用のレシピをそのまま流用するのではなく、子犬用の基準で再評価します。
そして、成長とともに体重や必要量が変わるため、一度作ったレシピを固定せず、その時点の愛犬に合わせて見直していくことが大切です。
よくある質問
子犬にはカルシウムを多めに入れた方がいいですか?
成長期はカルシウムが重要ですが、多く入れればよいわけではありません。カルシウム量、リン量、Ca:P比を合わせて確認し、特に成長期の大型犬・超大型犬では過剰にも注意します。
子犬は何歳までGrowth & Reproductionで確認しますか?
成長が終わる時期は犬種や体格によって異なります。小・中型犬と大型・超大型犬では骨格の成熟時期も異なるため、月齢だけで一律に切り替えず、犬種・体格・成長状態を確認します。切り替え時期に迷う場合は獣医師へ相談してください。
子犬の手作りごはんは毎月レシピを変える必要がありますか?
毎月必ず別のレシピにする必要はありませんが、成長とともに体重や必要エネルギーは変化します。同じレシピを使う場合でも、現在の体重や月齢で食材量・栄養バランスを定期的に再確認することが大切です。
※本記事は健康な子犬の手作りごはんを考えるための一般的な情報です。成長不良、消化器症状、持病がある場合、大型犬・超大型犬の成長期の栄養設計など、健康状態や成長に不安がある場合は獣医師などの専門家に相談してください。

